憂鬱の科学

わが国安全保障政策とインド


 日本のGDP規模を抜いて10年が経った中国はMER(Market Exachange Rate)ベースでアメリカとの格差を7百兆円ほどとするまでに経済規模を拡大させ、対外的な投資を拡げつつ、同時に軍事的拡張を遂げている。

 5年前、習近平主席は遂に国賓として中英史上画期的な英訪問を遂げた。

 イギリス・キャメロン政権時のオズボーン財務相は親中派で、初めてとなる人民元建て公債のロンドンでの発行を約し、中国国営原子力企業による英国内での原発建設への投資や高速鉄道建設への中国企業の参入などをも合意した。

 中国はEU主要国であるフランスとも2004年頃から触手を伸ばし、2007年当時のサルコジ大統領は中国湖北省武漢市の研究所におけるP4実験室の設計に全面的な協力を果たして、今、アメリカは当該実験室の査察を要求している。

 経済的影響力の拡大は対外投資であり、国の安全保障政策は軍事的戦略に拠るが、経済的関係の緊密化がしばしば国の安全保障政策と葛藤を来すことが有り、経済力・軍事力両面で世界をリードしてきたアメリカが市場経済で動く社会であって、多元主義・民主主義の価値観を尊ぶ信条を逞しくするのに対し、中国共産党支配の国家は現実に経済の計画・統制、多様な価値観への不寛容、専制主義をあからさまにすることは言うまでもない。

 であるから、中国がアメリカと拮抗するにはヨーロッパの"買収"は理に適った仕業ではあるものの、米ソ冷戦下の1950年に西側諸国で真っ先に中国との国交を結んだスウェーデンでは最近俄かに中国離れを惹き起こし、10年前フォード・モーターが所有していたボルボの株を中国企業が買収した時は何らの騒ぎも起きなかったところを、習近平体制下での人権圧迫を嫌悪する動きが急速に拡がり、姉妹都市の提携を打ち切る自治体が増え始めている。

 そこを中国政府はビザの発給制限などをちらつかせ、スウェーデン政府からの抗議を被っている始末だ。

 その点、アメリカは今世紀に入るや、ブッシュJr.政権の時代から中国との関係を悪しくしてきたインドへの原発開発協力を進めており、長らく堅持してきた核不拡散(国連常任理事国以外の諸国が核を持たない)則から転じてインドの核保有を容認する方向へ変わり、インドは去年末に悲願であった核弾頭の搭載を可能とする弾道ミサイルの発射実験に成功した。

 そうしたインドの公営銀行が、今日28日、アメリカと敵対するイランの通貨と印通貨ルピーとの為替を通じて石油を除く物産の通商拡大を図るべくイラン側事業者と協議を始めていると報じられた。

 アメリカと安全保障政策を共有すべき条約を締結している日本では経団連のお歴々らは中国共産党要路らに媚び、習主席の国賓としての来日を渇望していたが、諸国間における経済関係の緊密化は確かに経済的繁栄を拡げるも国の安全保障を妨げる有害性を孕み、安全保障を妨げることは折角のビジネス・チャンスを潰す大きなカントリー・リスクを伴う。

 ゼロ成長に苛まれる国内経済に眉を顰める経団連お歴々らの苦衷を理解できないでもないが、過度な中国経済への傾斜は結局わが国の安全保障を害する危険性を膨らませる。

 官邸官僚主導となった安倍長期政権にて官邸を主導する原発官僚の今井尚哉殿がわが国の安全保障政策を確
かなものとする広壮な視野を持たれたならば、アメリカの同盟国であるわが国が米安全保障政策と並行した投資政策を揮うことで、世界において軍事的脅威を増大させる中国に対する安保政策を強化できる筈だ。

 スズキがインドで繁盛を遂げたように、日本の原発・原子力開発をインドに向けるべきではないか。

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  2. 2020/06/28(日)
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